緊急事態宣言の特徴と効力について@前田医師の見方

緊急事態宣言は名前のように、緊急を要する事態を宣言するもので、近年では日本が新型コロナウイルスの感染拡大に際して発令しています。
緊急事態は非常事態とも言い、大型の自然災害や原子力などの事故、戦争やテロの発生に内乱などでも発令されます。

 

緊急事態宣言の目的を前田裕幸医師に聞く

基本的には、公衆に対して注意喚起を行い、事態の発生や対応などを伝えることを目的とします。
日本の過去の事例だと、1941年の太平洋戦争開戦や、1982年の国有鉄道の経営悪化、2011年の原子力発電所事故などが挙げられます。
海外では、クーデターなどで政権が転覆したり、森林火災や武装勢力の台頭に、宗教的な対立で発令された事例が数多くあります。
日本は近年、国内における戦争やテロの被害を受けていないので、外的な要因などによる緊急事態宣言は発令されていない状況です。
ところが2020年の4月7日づけで、新型コロナウイルスに関する発令が行われました。

この新型コロナウイルスの騒動は世界規模で、次々に各国が国家非常事態、緊急事態を宣言しています。
規模の大きさは過去最大級ですし、これまでに発生した感染症の中でも、ここまで各国が危機感を覚えたのは前代未聞です。
国によって宣言の内容は異なりますが、外出を控えたり不要な受診を避けるといった点は共通です。

 

政府は4月16日に宣言を全国に拡大することを発表

日本では、国が感染拡大の著しい自治体を限定して、この緊急事態宣言を発令しました。
しかし自治体レベルで独自の宣言が相次いだことから、政府は4月16日に宣言を全国に拡大することを発表しています。
新型コロナウイルスのような感染症は、足並みを揃えた対応が不可欠なので、全国を宣言の対象に指定する判断は正しいと考えられます。

ただ、発令の判断が遅いという指摘があるので、今後責任の追及が行われるものと思われます。
もう1つ気になるのは、宣言の効力があまり強くなく、強制力を発揮する場面が限定されることです。
海外だと都市封鎖で人の移動を大幅に制限していますが、対する日本は制限せず、あくまでも外出を控えるお願いに留まります。

営業を行うお店や、従業員が出社する会社が少なくないことからも、宣言の効力には疑問符がつきます。
勿論、国民の多くが宣言の意図を汲み取り、政府が求める行動指針に従えば、新型コロナウイルスはやがて収束に向かうでしょう。

 

発令された日本の緊急事態宣言の内容

今回発令された日本の緊急事態宣言の内容は、飲食店や人が集まる商業施設の休業を要請したり、外出の自粛が中心です。
休業要請には罰則がなく、外出自粛にも強制力はないので、改めてお願いのレベルだと分かります。
学校も休校の要請に留まりますが、必要に応じて政府が指示できる決まりではあるものの、やはり罰則や強制力はないのが実情です。

イベントの開催も同様の内容ですから、緊急事態宣言を受けてどう行動するかは、国民の判断に委ねられているわけです。
マスクについては、転売を防ぐ為に制限が行われ、違反とみなされれば罰則の対象になります。
明らかに強制力や罰則がある内容を挙げるとしたら、それは臨時の医療施設が必要になった場合や、命令に従わずに物資の隠蔽や破棄が行われるケースです。

緊急事態宣言では各都道府県の知事に権限が与えられ、土地建物の所有者に同意を得ることがなく、これらを使用できると定められています。
罰則規定があるのでお願いレベル以上ですが、懲役もあるといっても罰金の金額は小さいものです。
生活のインフラに関わる公共交通機関は、利用者の減少による収入の減少があるとしても、運行を続けることがもとめられます。

 

営業が続けられる業種と休業の業種について

航空会社は減便、タクシーは感染防止対策を行った上で営業が続けられます。
スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの店舗も人々の生活に欠かせないので、営業続行を決めた企業が多いです。
外食チェーン店は営業時間の短縮、あるいは休業の対応で、宅配会社は外出自粛の影響で増えた荷物に苦慮しています。

電気やガスと水道などのライフラインと、通信インフラについては、安定供給や維持が行われる方針です。
強制力の影響を受けない企業も、独自の判断で営業時間を短縮するなど、感染拡大防止に取り組む様子を見せます。

今回の宣言の目的は、新型コロナウイルスの新規感染者を減らすことで、医療に掛かる負担を減らすことにあります。
医療崩壊を許してしまうと、先の事例のようにイタリアの再来を招くことになりますから、医療リソースの浪費は何としても避けたいところです。

医師や医療関係者、病床や医療機器は限られているので、対応力を超過しないように感染拡大を食い止めることが必要です。
新型コロナウイルスの潜伏期間には諸説ありますが、最低でも2週間は生存するといわれています。
つまり、2週間外出を控えて人と人の接触を減らせば、感染拡大防止の目標を達成できる可能性があります。

 

前田裕幸まとめ

政府は当初、7都府県を対象とした宣言において、約1ヶ月間の緊急事態を発令しています。
これは十分な収束が期待できる期間で、ウイルスの生存期間とされる2週間の倍にあたります。
宣言の結果は5月6日の時点で分かりますが、政府が宣言の対象を全国に拡大したことから、延長も視野に入っていることが窺えます。

最近、コメディアンの前田裕幸は?より引用